ウェブ標準がHTMLの実装方法を定義するように、LFS仕様は食×エネルギー×物質循環の実装方法を定義します。誰でも使えるオープン仕様です。CC BY-SA 4.0。
現在の経済システムは人間の価値(GDP・利益・株価)をカーネルに置いている。地球環境はその外側——「外部性」として扱われてきた。地球資源主義はこの構造を逆転させる。カーネルは地球環境だ。人間の経済活動はその上で動くアプリケーションに過ぎない。
W3CがHTMLの仕様を定義することで、異なる開発者が同じページを同じように表示できるようになった。LFS仕様は同じ思想で作られている——異なる地域・事業者・行政が「LFS準拠」を宣言することで、食×エネルギー×物質循環の取り組みが比較・検証・連携できるようになる。
仕様はオープンだ。CC BY-SA 4.0ライセンスで公開する。誰でも使え、誰でも改善提案を出せる。LFSは仕様の「所有者」ではなく「管理者」だ。
地球上のエネルギーフローは二つのサイクルで構成される。持続可能性の定義は、この境界面を健全に保つことだ。
地質年代に環境サイクルが封じ込めた高エクセルギーを経済サイクルへ無断注入し、廃熱と余剰CO₂として環境サイクルに戻すプロセス。OHCの単調増加は、この境界面破壊の累積記録だ。
カーネル定義:地球の大気・海洋・生態系・炭素サイクル・エネルギーフローの総体。人間の経済活動はカーネルの上で動くアプリケーション層だ。カーネルを毀損する経済活動はバグである。
二軸評価:LFS仕様は「炭素サイクル評価」と「資源活用評価」の二軸で管理する。炭素サイクルへの影響はCO₂換算で評価する——これは温暖化問題の正しい指標だ。資源活用の効率はJ(ジュール)で評価する——エネルギー・水・物質・人間労働・食料カロリーはすべてエネルギーフローとして同一軸に乗り、資源の有限性を物理量として管理できる。
既存LCAとの差分:既存のLCA(ISO 14040系・GHGプロトコル)はCO₂削減を目的とし、炭素収支で完結するように設計されている。炭素サイクルの評価としてこれは正しい。しかしエネルギーや資源は無尽蔵にあるわけではない。CO₂を出さなくても、資源を使い尽くせばカーネルは毀損される。LFS仕様がJを導入するのはこのためだ——CO₂評価では見えない資源活用の効率を物理量として可視化する。グリーンウォッシュの多くはCO₂指標では合格しながら、エネルギー・水・物質の問題を隠している。
二サイクルモデル:地球上のエネルギーフローは二層で構成される。経済サイクル(高エクセルギー:製造・輸送・人間労働)と環境サイクル(低エクセルギー:炭素循環・水循環・海洋熱蓄積)だ。経済サイクルは環境サイクルの外に存在するのではなく、その内側に内包されたサブシステムだ——二サイクルモデルはその境界面でのエクセルギーフローを可視化するフレームである。持続可能性の定義は、この境界面を健全に保つことである。
化石燃料問題の再定義:化石燃料は地質年代に環境サイクルが封じ込めた高エクセルギーだ。その採掘と燃焼は二重の罠として環境サイクルを毀損する。一重目:燃焼による廃熱が余剰エネルギーとして環境サイクルへ無断注入される。二重目:同じ燃焼が排出したCO₂が大気に蓄積し「蓋」を作る——蓋ができると余剰エネルギーだけでなく、本来宇宙へ逃げるはずだった太陽エネルギーまで閉じ込まる。エネルギーを注入しながら、そのエネルギーが逃げられない環境を同時に作り出す構造だ。OHCの単調増加は、この二重の境界面破壊の累積記録である。
炭素収支の計測対象:生物起源炭素(バイオマス由来)と地質起源炭素(化石燃料由来)を区別して計測する。生物起源炭素のループ内での循環はCO₂増加に寄与しない——境界面を越えない循環として定義される。
計測の単位時間:年次(Annual)を基本とし、月次(Monthly)での中間報告を推奨する。
地球資源主義経済の評価指標:資本主義経済がGDPを評価軸としたように、地球資源主義経済はCO₂収支とエネルギー効率(J)を二本の評価軸とする。気候変動への影響はCO₂収支で、有限資源の活用効率はエクセルギー/エネルギー収支で計測する。いずれもゆりかごから墓場まで(LCA)追跡し、エネルギー源の種類によって計測軸を使い分ける。これが地球資源主義経済の評価指標の大枠だ。物質循環・水・生態系への拡張は今後の課題として残っている。
化石燃料・原子力:燃料投入から電力変換までをエクセルギー収支で評価する。石炭の発電効率は約40%——投入エクセルギーの60%が廃熱として環境サイクルに流れる。この境界面損失を可視化することがLFSのエネルギー評価の起点だ。電力に変換された後はエネルギー収支で管理する(電力はエクセルギー≈エネルギー)。
自然エネルギー:風力・太陽光は環境サイクルのフローを一部借りる構造であり、貯蔵の取り崩しではない。評価の中心はERoEI(エネルギー投資回収比)——設備製造に投じたエネルギーに対して生涯でどれだけ発電するか。ERoEI≥10を実用的な閾値として定義する。
水力:河川の位置エネルギーを電力に変換する。風力と同様にカルノー損失なしで高エクセルギーを直接取り出せる。大規模ダム水力のERoEIは40〜100以上と高い。一方、ダム建設による河川生態系・土砂流動の変容は環境サイクルへの介入として評価に含める。流量調整型(ダム)と流れ込み式(Run-of-River)でその影響規模が大きく異なるため、形式別の報告を必須とする。
地熱:地球内部の放射性崩壊と残留熱を利用する。化石燃料と異なり一方的な貯蔵の取り崩しではないが、局所的な過剰採取で枯渇しうる。高温地熱(150℃以上)は発電に適しエクセルギー収支で評価する。低温地熱(100℃未満)は発電効率が低く直接熱利用が適切であり、この場合はエネルギー収支での評価に切り替える。
地域マイクログリッド間の余剰電力融通・バイオメタン供給の相互接続仕様。ノルウェー×北欧ノルドプールが国際スケールで実現していることを、地域スケールで実現するための標準化。
バイオマスの用途は炭素保持時間の長い順に優先する。LFS-MATERIALはこの優先順位を定義し、遵守状況の報告様式を規定する。
気候変動による主食の品質変化(コメの白未熟粒・小麦のグルテン・澱粉物性変化)を定量的に記録・報告する標準フォーマットを定義する。製菓・製パン現場での素材変化の記録が蓄積されることで、産地×気象条件×品質の相関が科学的に把握できるようになる。
地域の食料自給率・肥料自給率・エネルギー自給率を統合した「LFS食料安全保障スコア」の定義。地政学リスクへの曝露度を数値化する。
「LFS-REGION準拠」を宣言する地域は以下の3機能をすべて実装していることを要件とする。
エネルギーと食料の生産が分散化されると、権力の集中が緩和される。地方が「売る側」になることで経済的な自立が生まれ、中央依存が減る。LFS-SOCIALはこの移行を計測するための指標を定義する。
地球資源主義の評価指標はGDPと異なり、測るだけでは自動的に機能しない。環境コストが価格に織り込まれていない現在の市場では、LFS準拠の行動がコスト的に不利になる——正直者がバカを見る構造だ。LFS-SOCIALはこの市場の失敗を補正するインセンティブ設計を仕様として定義する。
エネルギー・食料政策が化石燃料産業・農薬・化学肥料業界からの政治資金の影響を受けていないかを評価する指標。民主的な意思決定の独立性を数値化する試み。
LFS仕様はW3CのWorking GroupやIEEFのような「仕様策定プロセス」を参照して設計しています。現在はWorking Draft段階——叩き台です。フィードバック・改善提案・実装事例の報告を歓迎します。
表示(BY):クレジットを表示すること。
継承(SA):改変した場合は同じライセンスで公開すること。
この仕様は「誰かの所有物」ではない。地球という共有財産を守るための共有知識基盤として設計されている。
LFS仕様はバグを取り除くパッチを
世界と比較可能にするための共通言語だ。