ABOUT LFS
豊かな食文化を
次世代に残すために。

それだけがこのサイトを
作った理由です。
Libre Food System · 2026
なぜ作ったか
動機は、食への愛着でした

このサイトはエネルギー政策の話でも環境活動の話でもありません。好きな食べ物が変わっていくことへの危機感から始まっています。

これは仮定の話ではありません。クリスマスケーキ用の苺が、当たり前に手に入らなくなりつつある現実です。主要な苺産地では晩夏の高温が長引き、実をつける準備にあたる花芽分化が遅れる年が増えています。花芽分化が遅れれば収穫のピークも後ろにずれ、12月の需要期に届かなくなる——毎年同じ時期に同じ品質の苺が手に入るという前提が、崩れ始めています。

コシヒカリの白未熟粒。サンマの不漁。オリーブオイルの価格高騰。カカオの産地縮小。これらは別々の気候問題ではありません——同じ一つの問題の、異なる食卓への現れ方です。

問題は個別の不運ではなく、食料を生産するための地球の物理的な条件が変わっていることです。そして、その変化は今後も一方向に進むという点で、これまでの異常気象とは質が異なります。食糧の安定供給が「当たり前」ではなくなろうとしています。

改善策を調べると、世界ではすでに動いていました。デンマークは畜産廃棄物をエネルギーと肥料に変えています。ブラジルは植物由来のプラスチックを商業生産しています。ノルウェーは水力だけで電力の90%を賄っています。

Libre Food Systemは、気候変動のメカニズムを整理し、改善策と合わせて日本語で発信する情報サイトとして開設しました。

哲学
地球資源主義——
ファームウェアを土台に置く

現在の経済システムは人間の価値(GDP・利益・株価)を最優先の位置に置いています。気候システムはその「外部性」——コストとして処理される存在です。この構造が、食料システムに埋め込まれたバグの根源だと考えています。

地球資源主義はこの構造を逆転させます。ファームウェアは気候システムです。その上に生態系(カーネル)、さらにその上に人間の経済活動(OS・アプリケーション)が乗ります。ファームウェアを毀損する経済活動は「バグ」です——修正が必要です。

SYSTEM HIERARCHY / 階層構造
HARDWARE
地球物理的な基盤。大気・海洋・岩石という器。
FIRMWARE ★
気候システム炭素・水・エネルギーの循環。大気海洋の物理法則。LFSが価値の中心に置く層。
KERNEL
生態系(人類を含む)光合成・食物網・生物多様性・土壌形成。ヒトも生物種としてここに属する。
OS
国・制度・法律カーネルの上で動くシステム。エネルギー政策・農業法制等。
APPLICATION
事業者・企業OS上で動くアプリケーション。農業・製造・エネルギー事業等。
USER
個人食べる・暮らす・選ぶ存在。同時に消費者・技術者・親・投資家・有権者として複数の権限で動くマルチプロセスでもある。
地球は読み取り専用ではない 干ばつ・洪水・収量の変化・海面上昇——これらは気候システムが発する「ハードウェア例外」だ。OSはこれを無視できない。ファームウェアは静的な資源ではなく、状態を変化させながら割り込みを送り続ける、自己進化するシステムである。
現在のバグ 現在の経済システムはアプリケーション(事業者の利益・GDP)を最優先に置いています。ファームウェアにあたる気候システムはその「外部性」として扱われ、ファームウェアを毀損する経済活動がバグとして放置されます。農業を続けるたびにファームウェアへ地質起源炭素が注入され、熱暴走を加速させる窒素肥料のバグは、その典型です。一方、クリスマスに苺が消え、小麦のレシピが通用しなくなるのは、カーネル(生態系)層で光合成そのものが機能不全を起こしている症状——ファームウェアの熱暴走がカーネルに波及した結果です。

「パッチノート」「バグレポート」「PATCH-01〜06」というソフトウェア開発の比喩をLFSが使うのはこのためです。食料・エネルギー・物質という地球のシステムに、人間の経済活動がバグを埋め込みました。そのバグに対してパッチを当てる——これがLFSの設計思想です。

物理的根拠
熱の捨て口が、同時に閉じつつある

気候システムには熱の捨て口がある。大気から宇宙へ向かう長波放射、深層海洋への熱輸送、生物ポンプによる炭素の深海固定——これらが連動して、地球は余剰エネルギーを逃がしてきた。

その捨て口が、同時に閉じつつある。

HEAT DISCHARGE PATHWAYS / 放電経路の現状
宇宙への長波放射
大気から宇宙へ向かうOLR窓
CO₂・水蒸気増加で縮小中
海洋深層への熱輸送
深層対流による熱の隔離
成層化・対流停止で弱体化
生物ポンプによる炭素固定
深海魚による炭素の鉛直輸送
OMZ拡大・深海魚消滅で低下
地表アルベド
氷床・海氷による太陽光反射
氷床・海氷減少で逆転中
産業エアロゾルによる遮蔽
排気ガス等が太陽光を散乱
脱炭素化に伴い消失中
残る構造的経路
大気中のCO₂を下げ、宇宙への長波放射窓を再び開くこと。火山噴火以外の構造的冷却経路はこれだけだ。

コミットされた温暖化、コミットされた海面上昇——すでに経路に入った変化は、強制力を止めても即座には止まらない。それでもカーボンネガティブの実装は、唯一残された放熱経路を広げ、さらなる悪化を遅らせる最大限の介入だ。

LFSは、この介入点に向けた情報基盤として存在する。食とエネルギー生産における炭素サイクルの最適化は、物理的に残された選択肢への、地域レベルからの応答である。

LFSとは何か・何でないか
オープンな情報サイトであり、
運動体でも事業体でもありません
LFSであること
オープンな情報サイト
世界の先行事例と改善策を整理・発信します
LFS仕様(CC BY-SA 4.0)を公開・管理します
地域での条件検証・対話を呼びかけます
農業・エネルギー・製造業の関係者との対話の場になります
多言語での情報発信を目指します
LFSでないこと
特定の事業・運動・政治
特定の企業・商品を推薦・販売する事業体ではありません
特定の政党・政治運動への支持を求めません
会費・会員制度は持ちません
LFS仕様の「所有者」ではなく「管理者」です
完成した答えではなく、問いを共有します
著者
村方 純
Jun Murakata
滋賀県出身・在住 パティシエ 機械工学(熱エネルギー・LCA) 地球資源主義

環境への関心の原点は、滋賀の小学生なら誰もが経験する環境学習船「うみのこ」と、中学時代の環境教育にあります。琵琶湖という身近な自然が、環境問題を自分ごととして考える出発点になりました。

高専・大学では機械工学を専攻し、伝熱・熱エネルギーシステム・LCA(ライフサイクルアセスメント)を学びました。気候変動問題の核心が炭素サイクルにあると分かるほどに強くなっていったのが、「食を中心に経済活動の炭素サイクルを最適化したい」という思いです。

その思いを実現する手段として選んだのがパティシエという職業でした。もともとお菓子作りは趣味だったこともあり、食を仕事にすること自体に迷いはありませんでした。独立して店を持てば業種を問わず多くの人とお客様として関われる——そのためには美味しいお菓子を作れるようになる必要がある、という単純な理由も後押しになりました。

炭素サイクルの末端である食卓に立てること、食への危機感を現場の声として一般の人に近い位置から届けやすいこと、農業大国フランスへワーキングホリデーで渡りやすいこと、食糧生産の維持に欠かせない地方創生・6次産業化に接続できること、そして独立して店を経営すればいずれ自分でウェブサイトを作れるようになること——複数の理由が重なった選択でした。

洋菓子店の経営が安定したら気候変動の情報発信を始めようと考えていた矢先、2025年の異常な暑さに強い違和感を覚えました。気候変動の実態を調べると、看過できない状況になっていました。このままでは食文化の維持が難しくなる——その危機感が、行動を早める決断につながりました。

二酸化炭素懐疑論に関する研究をエクソンモービルが支援していという報道を知り、温暖化について科学に基づいた情報を発信するこのサイトを作る決断に至りました。

バイオマス発電×稲わら活用のアイデアを起点に、デンマークのバイオメタン循環モデルやフランスの分散型社会思想なども参照しながら調べていくうちに、食を中心とした地方分散型の循環のサイクルが描けたので、合わせて公開しています。オープンソースソフトウェアのようにアイデアが共有されていくことで、より良い未来の創造に繋がると考えています。

環境絵本「地球の秘密」の作者、坪田愛華さんに敬意を表して。

このサイトについて

LFSは専門家でも研究者でもない一人の市民が、「豊かな食文化を次世代に残したい」という動機から作った食×エネルギー×物質循環に関するオープンな情報サイトです。

まずはサイトをご覧いただき、関心を持っていただけたら——それがLFSの最初の一歩です。

お問い合わせはこちらからお願いいたします。内容によっては返信に時間がかかる場合がありますが、必ず目を通します。

具体的な試み
琵琶湖システム2.0——稲藁・廃材から始まる循環提案

「経済活動を炭素サイクル側に寄せたい」という思いを、滋賀県を対象に具体的なシステムとして提案しています。稲藁・廃材バイオマスを起点に、エタノール製造・バイオ炭農地固定・三段階リサイクルを統合した低炭素循環型農業圏の構想です。提案段階の資料を公開しています。

提案書を読む →
付録
気候変動を理解するための学問マップ

このサイトの背景には、物理・化学・植物生理学・統計学など10以上の学問領域が横断的に関わっています。「どこから学べばいいかわからない」という方のために、学問領域ごとに「なぜ必要か」を整理したページを用意しています。

学問マップを見る →
まず、知ることから始まります

パッチノートを読む。世界の事例を知る。

食の危機を知る → 改善策を読む → 琵琶湖システム提案書 →